| 光を得る
富山県・新湊市にある新築計画です。 住人は60歳代夫婦の2人で、老朽化のため建替計画が始まりました。
この敷地の周りは、“富山県なのに...”と思うくらい住宅が密集し、東京などの都市部と変わらない位の条件です。
さらに今回の計画地は密集部の中央にあり前面道路も2.5Mくらいの4方向塞がれた感のある敷地です。
このような環境の中で“恵まれた条件の住宅より光が入り豊かな空間を創り出したい”との思いでスタートしました。
密集地にある敷地は閉鎖的。自然の光・自然の風を求めローコストが条件。 テーマは“敷地との闘い”です。
デメリットを補う内部空間
前面道路に立った時の閉塞感から解放されるかのような広がりの内部空間を玄関ドア1枚入ったところで創り出せないかと思いました。
そして、その広がりのある空間をライティング効果でより立体的に強調した表現力を持つ空間に仕立てることを考えました。 自然光・人工光による立体的なライティングを計画しています。 昼は上部から降り注ぐ光、立体感を与える構造体、そして、夜はその構造体と間接光によってつくり出される陰影が広がりを強調しました。
自然光も含めた照明計画
敷地の悪条件を克服し、昼間は自然光でベースとなる“あかり”を採っています。 このような条件でも十分に光を採り入れることが可能であり、そして自然光のすばらしさを再認識できるように考えています。
“自然光により1日の時間の流れや気候も感じ取れる”生活の原点が見える家です。 夕方から夜にかけては、テーブルや流し台等の作業を伴う部分は直接光としていますが、その他は間接光とし、構造体の陰影が建築をより立体的に見せています。
ローコスト・小面積・最小限の機能箱
小住宅でありながら1坪あたり60万円というローコストへの挑戦でした。(小さい建築の場合、敷地の悪条件や材料単価が割高のため高くなりがちです) 大きな1ルームに最小限の機能BOX(部屋)を配置し無駄なスペースは極力排除しました。
そのため造作物は少なくでき、ローコストにつながっています。 仕上げ材等は高級材とは言えませんが自然材料を使用するように心掛け、コストを落とせるところは落とし、かけるところはかけるようコストバランスに気を配りました。
原点の姿
このあたりの建物は一般的にサイディングや波板鉄板の外装・アルミ玄関ドア・ビニールクロスの内壁で構成され、どの建物も同じような姿をしています。 特に変わった表情を狙った訳ではありませんが「新湊の家」は少し違った雰囲気のように見えるようです。
自然素材の内外装は昔からの住宅スタンダード型であり原点の姿に立ち戻っただけですが・・・。 便利で施工も容易な素材で構成された建物はある意味よく考えられています。 しかし、便利・簡易よりもっと大切な部分を見直し“本当に良いもの”“本当に必要とする姿”が失われていませんか?
振り返って
“吹き抜け”“自然素材”
吹抜けの効果
自然光を採るための吹き抜けでしたが、このスペースが1階と2階をつなぎ空気の流れをスムーズにし通風が大変よくなっています。
自然光も計画通り採ることができ、1・2階とも夕方まで明るい内部となっています。
今後さらに生かしかたや使い方を発展させたくなる空間です。
自然素材の感触・効果
床・階段に使用している無垢の杉材の感触は肌に優しく触れ合います。
構造体の木や壁・天井のシナ合板が部屋中に木の香りを漂わせています。自然の癒しですね。
また、玄関アプローチに使った枕木は冬季の凍結の対策で使用しましたが今後どのように役に立っていくか楽しみにしています。 |